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ロシア民話 ”プーシキン: 漁師と魚の物語” 1
爺さんと婆さんが住んでいました。
真っ青な海のほとりにある朽ちかけた穴倉の小屋に住んでいました。
ちょうど30年と3年の年月を爺さんは投網で魚をつかまて
婆さんは亜麻をつむいでいました。
ある日、爺さんは海に投網を打ちました。投網には泥がついていました。
もう一度打つと海草がついていました。
三度目にに投げると一匹の魚がかかりました。
普通の魚でない、金の魚でした。
なんと金の魚は泣きついてきました。
それも人の声で
<爺ちゃん、わたしを海に放してあなたに身代金を払うわ
あなたが欲しいものならなんでもあげる>
爺さんは驚きました。そして怖くなりました。
30年と3年と漁をしているが魚が話すのを聞いたことがありません。
金の魚を放すと優しい声で言いました。
<いいんだよ、金の魚!身代金なんて要らないよ青い海に帰って
広い海を泳ぎまわりなよ>
婆さんのところに戻った爺さんはとんでもない不思議な話をしました。
<今日、魚を捕まえようとしたが普通の魚でなくて金の魚だった。
魚は人の声で話したのだ。青い海に帰らせてと…高い身代金を払うというのだ。
わたしは身代金を取れなかった青い海に放してやったよ>。
婆さんは爺さんのことをののしりだした。
<おまえは馬鹿で、とんまだよ!身代金が取れなかったと!
洗濯桶でもよかったよ。うちのは割れているのだよ>
それでじいさんは青い海に出かけた。見ると、海は軽く波立っている
爺さんは金の魚に呼びかけた。魚は爺さんのところに泳いできて訪ねた。
<爺ちゃん、どうしたの?>
じいさんはお辞儀をして答えた。
<ごめんなさい、魚の女王様。うちの婆さんががみがみ言うんだよ
この年寄りをほっておいてくれないのだ。ばあさんは洗濯桶が欲しいそうだ
うちのはすっかり割れてしまったそうだ>
金の魚が答えるには、
<悲しがらないで、家に帰りなさいよ。新しい洗濯桶になっていますよ>
爺さんは婆さんのところへ戻った。でも、婆さんはもっとひどくののしるのだ。
<おまえは馬鹿で、とんまだよ!洗濯桶をとろうなんて。洗濯桶にたくさんお金が入っているのかい?馬鹿もの、魚のところへ行っておいで。お辞儀をしてから丸太小屋が欲しいって言うんだよ>。
それで爺さんさんは青い海に出かけた。
(青い海は濁っていた)
爺さんは金の魚に呼びかけた。魚は泳いでくると訪ねるのだった。
<爺ちゃん、どうしたいの?>
爺さんはお辞儀をして答えた。
<ごめんなさい、魚の女王様。婆さんは前よりひどくがみがみ言うんだよ
この年寄りをほっておいてくれないのだ。
がみがみ婆さんは丸太小屋を欲しがっているのだ>
金の魚が答えました。
<悲しがらないで、家に帰ってください。きっと丸太小屋ができてるよ>
爺さんは穴倉小屋に戻っていった。ところが穴倉小屋は跡形もなく
爺さんの目の前には小部屋がついて、白く塗った煉瓦の煙突があって
かしの薄板の門がついた丸太小屋があるじゃないか、婆さんは窓の下に座って
自分の亭主を怒鳴り散らす
<おまえは馬鹿で、とんまだよ!丸太小屋を頼むなんて、もう一度行って魚にお願いしな
わたしゃ百姓女はもう嫌だよ。家柄の良い貴族婦人になりたいんだ。
爺さんは青い海へ行きました。
(青い海は波だっていた)
爺さんは金の魚に呼びかけた、魚は泳いでくると訪ねるのだった。
<爺ちゃん、どうしたいの?>
爺さんはお辞儀をして答えた。
<ごめんなさい、魚の女王様。婆さんは前よりひどくがみがみ言うんだよ。
この年寄りをほっておいてくれないのだ。もう百姓女がいやになったさ。
家柄の良い貴族婦人になりたいんだ>
金の魚が答えました。
<悲しがらないで、家に帰りなさいよ>
じいさんはばあさんのところへ戻った。
なにを見たと思う?高くそびえる豪邸だ。
階段に立つばあさんは、高価な黒てんのチョッキを着ててっぺんが錦の帽子をかぶり
真珠はずっしりと首にかかり手には黄金の腕輪足には赤い長靴だ。
前には忠実なしもべたちがひざまずき婆さんはしもべを殴り、前髪を引っぱっている。
爺さんが自分の婆さんに言いました。
<こんにちは、貴族の奥さま!きっとあんたの心は休まっていないだろう>
婆さんは爺さんを怒鳴りつけて厩で働けと追っ払った。
一週間が過ぎ、もう一週間が過ぎた。
さらにばあさんは馬鹿げたことをし始めた
また爺さんを魚のところへ行かせようとする。
<行って魚に頭を下げて来い貴族の奥さまはいやになった。
わたしゃ女王様になりたいんだ>
恐れをなしたじいさんはお願いし始めた
<ばあさん、気でも狂ったのかい?貴族の奥さまのように振舞えないじゃないか!
おまえは国中の笑いものになるよ>
かんかんになった婆さんは亭主のほっぺたをひっぱたいた。
<なんだい、百姓め、わたしに逆らうのかい。この家柄の良い貴族の奥さまに?
海へ行けって、おとなしく言っているんだ。行かなきゃ無理にでも引きずって行かせるぞ。>
じいさんは海に向かった
(青い海は黒ずんでいた)
じいさんは金の魚に呼びかけた、魚は泳いでくると訪ねるのだった。
<爺ちゃん、どうしたいの?>
爺さんはお辞儀をして答えた。
<ごめんなさい、魚の女王様。婆さんは前よりひどく荒れているんだよ。
この年寄りをほっておいてくれないのだ。貴族の奥さまはもう嫌だと言うんだよ。
女王様になりたいなんていうんだよ>
金の魚が答えるには、
<悲しがらないで、家に帰りなさいよ!いいでしょう!女王様になるでしょう!>
爺さんは婆さんの所へ戻った。
何てことだ、目の前には王様の広間があって、広間には自分の婆さんがいる。
テーブルの前に座るばあさんは王さまじゃないか。大貴族やら小貴族やらが仕えている。
とびっきりのワインをグラスに注いでいる
ばあさんは押し型入りのクッキーを食べている。脇にはいかめしい番人が付き添い
番人は斧を肩につけて握っている。じいさんはこれを見て怖気ついた。
ばあさんの足元にひれ伏してお辞儀をしたじいさんが言うには、
<こんにちは、女王さま!きっとあんたの心は休まっていなさるだろう>
ばあさんはじいさんを見もしなかった。ただじいさんを追い出すよう目配せした。
近づいた貴族たちは
じいさんの首筋をつかまえた
扉ごとに立つ番兵が走り寄って
まさかりで切りつけんばかりであった
人々は、じいさんをあざけり笑った
<ざまあみろ、老いぼれの無作法ものめ!
いい薬だぜ
身の程を知れってんだ!>
一週間が過ぎ、もう一週間が過ぎた
さらにばあさんは、ばかげたことを思いついて
廷臣たちを、じいさんのところへ行かせるのだ
じいさんは、ばあさんのもとに連れ出された
ばあさんがじいさんに言うには
<行って魚に頭を下げて来い
女王さまはいやになった。
わたしゃ海の支配者になりたいんだ
大きな海に暮らして
金の魚はわたしの家来になって
わたしのはしり仕えをするのだ>
じいさんは、もう何も言わなかった
もう口を開くこともなく
青い海に向かった
海は黒々とした嵐になって
怒ったうねりが膨れ上がっている
大きな波が荒れ狂っているのだ
じいさんは、金の魚に向かって叫んだ
魚は、泳いでくるとたずねるのだった。
<じいちゃん、どうしたいの?>
じいさんはお辞儀をして答えた。
<ごめんなさい、魚の女王様
あの馬鹿ばばあを、どうして良いか分からない
もう女王さまはいやだそうだ
海の支配者になって
大きな海に暮らして
あんたを家来にして
はしり仕えをさせたいそうだ>
魚は何も言わなかった
ただ尾びれで水を打ち
深い海へと消えていった
長いこと、じいさんは答えを待った
あきらめて、ばあさんのもとへ戻っていった
見ると、じいさんの前には穴倉の小屋があり
敷居にばあさんが、腰をおろしている
ばあさんの前には、割れた洗濯桶があるのだった。
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