1、大奖作品
応募作品
町の小さな郵便局に今週も彼女は現れた。局員たちに水曜日さんと呼ばれる彼女が今日差し出した手紙にはしかし宛名がない。「これじゃ届きませんよ」苦笑しながら顔を上げた彼の目に映ったのは、うつむき加減できゅっと口元を引き結び、真っ直ぐに彼を見つめる真摯な瞳だった。
评委会特别奖作品
応募作品
幼い頃の事故が元で、妹は3人の人間しか記憶できない。内訳は僕と両親。妹の16の誕生日に僕は言った。好きな人が出来たら、僕を忘れてその人を心に刻め。やだよ、と妹は笑った。翌年のある日、恋人の男と共に現れた妹は泣きそうな顔で僕に言った。「お兄ちゃん。あたし、誰?」
2、优秀作品赏
応募作品
12月の深夜のゴミ捨て場。明日は粗大夢の日。誰もが、ボロボロになった夢を捨てにくる。今夜も、ある男が野球選手になる夢を捨てにきた。やがて一人の老人が現れた。「まだ使えそうだ」老人は大きな袋にその夢を入れた。「どの子の枕元にこの夢を置こうかの」老人はトナカイの耳元に囁いた。
応募作品
親指にささくれができた。引いてみると、するする剥ける。指の付け根にたどりつき、手首も肘も剥けていく。首も顔もきれいに剥ける。とうとう全身剥いてしまうと、皮膚は人の形になった。私は急に怖くなる。肉から汗がにじみ出る。皮膚はふわりと立ちあがり、涼しい顔で歩きだす
応募作品
3、
仕事がねえ。飯食う金もねえ。友だちがガムをくれた。腹の足しにもならねえが、とりあえずくちゃくちゃ噛んだ。とことん味がなくなるまで噛んで、ぷっ、と吹き出したら、仏様の形をしていた。もう一度試すと、千手観音になった。そうやってガム仏師になったのよ、俺。ほんとほんと。
応募作品
日:頭数だった合コンで一目惚れ 月:親友に頼み込んで連絡先をもらった 火:意を決して電話したが何をしゃべったか覚えてない水:彼女から掛かってきて心臓が飛び出た 木:約束のランチで親友を好きだと相談された 金:会社を休んだ 土:一生二人の親友でいることを誓った。
佳作奖
応募作品
俺は美
4、容整形医。今、少女に告白されている。「好きです。先生好みの顔にして下さい」こんな要望は初めてだ。数時間後、麻酔から覚めた少女は言った。「先生、私の顔どこも変わってません」「そうさ。俺も前から君が好きだったんだ」俺たちは抱き合った。と、少女が呟いた。「…私の胸大きくなってる」
応募作品
妻がおにぎりを作ってくれた。「何が入ってるの?」「私の気持ちよ」ドキリとした。既に妻との仲は冷えきっていたからだ。これから妻との関係を修復しようと考えていた矢先。中身が空だったらどうしよう。だが、中身は大好物の鮭だった。俺は嬉しくて妻に礼を言おうとしたが、舌が痺れて言えなかった。
応募作品
5、
さんたさんえ。ぼく、ことしわなにもいりません。でも、おねがいがあります。ぱぱとままのゆめのなかえつれてってください。ぼくがてんごくにいってからふたりはないてばかりだから、あいしてくれてありがと、もうなかないでっていいたいんだ。ずっとずっとだいすきなぱぱとままにわらってほしいんだ。
応募作品
さすがに10年も同じ机で仕事していると私物も仕事の物も一緒くた。さて、荷物をまとめるか。うわっ、これフロッピーだよ。大事なデーターかな?出ないボールペンは何本も出てくるし。このお菓子、賞味期限が20世紀だよ。これなんだ?婚姻届?そうだ、結婚しようと思ってたんだ!
応募作品
寝たまま
6、死を待つ男は妻に頼む。お前の好きなアロマとやらをやりたい。妻は少し喜び、道具を用意し毎日オイルを補充した。だが、男はそれを焚くことはなかった。男は深夜1人それを飲み続けた。味覚などとうにない。翌年、男は死んだ。火葬場を包んだ香りは、妻以外の参列者も癒した。
応募作品
立ち止まった彼女の前には、ダンボール 箱に入った捨て猫がいた。連れて帰ろうとする彼女に「家には僕達が暮らす分のお金しかない」と言ったら、「じゃあ、あなたを捨てて、この子を連れて帰るわ。新しい飼い主が見つかるといいわね」と言って、その猫と帰った。残された僕はダンボール箱に入った。
Twitter名:poly_propylene(ご応募時)
病室のベッドの上。彼は末期癌だった。 その彼が不意に「明日世界が終わるとしたらどうする?」訊ねられた私は答えられなかった。「そしたら僕はね、明後日まで生き延びてみせるよ」とても綺麗な微笑だった。その夜、彼は息を引き取った。彼は明後日の、その先の世界へ行けただろうか。