1、報告書の書き方は? 実務編2 良い報告書の書き方は? 良い報告書とは、読んだ人間から質問もなく判子を押してもらえるような報告書、ではないでしょうか。 決して、文章量や資料が多ければ多いほど良い報告書である、ということはありません。 たとえどれだけ資料をアレコレつけたとしても「この報告書の件だけど、ちょっと聞かせてくれる?」と内容について説明を求められるようでは落第点ですからね。 ええ~! 一発でバシッと決められる報告書なんて、どうやって書けばいいんですか? まず何から書けばいいのか悩んじゃいますよ。 それは実務編の1でお話しした「報・連・相」のと
2、きと一緒ですよ。 ビジネスで大事なのは結論から伝えること、簡潔明瞭に表現することの2点ですからね。 これは口頭でも文書でも変わりません。 書き方は? 報告書とかビジネス文書って「こう書かなきゃいけない」って決まりがあるんですよね? もちろんある程度の決まりってのはあるけど…。だいたいどの会社にも書式の雛形、フォーマットがあるんじゃないかしら? 先輩や上司に言えば、今までの報告書なんかを見せてくれるから、それを参考にして真似できるところは真似しちゃえばいいのよ。書式なんて瑣末なこと、見る方はさほど気にしてないんだから。 気にしてないってそんなぁ。そういうのをき
3、ちんと守らないと色々言われちゃうんじゃないんですかぁ? 報告書の書式は、社内のフォーマットと大体同じであればいいんですよ。大切なのは中身です。報告書は社内や社外などで問題が起きたときに書くことが多いのですが、この「問題が起きたとき」というのが、仕事で一番重要なときでもあります。 例えばお客様からクレームがついたとしましょう。怒っているお客様に対して、あなたは書面で「どうしてクレームがつくようなことが起こってしまったのか」ということを正確な事実で説明し、また「どうそれに速やかに対処するか」を責任持って記し、そして同時に謝意を文章で表さなくてはいけません。 大事なのは「正確な情報」
4、と、「だからこれからどうするか」であって、体裁を整えるための書式ではありません。ビジネスマナーはビジネスマンの常識ですし、もちろん大事なことですが、それにばかり捕らわれて大事な本質を忘れてはいけませんよ。 な、なるほど~。そう言われれば確かに…。 一口に報告書やビジネス文書といってもシチュエーションは様々、それに伴い文書の中身だって様々だ。 それをひとつずつ説明すると長くなるからな、ビジネス文書の実例集は書店にも多くならんでいるし、細かい表現などが知りたい人はそちらを読んでみるのもいいかもしれない。 そういえば、社内はフォーマットに合わせればいいんでしょうけど、社外
5、の人に文書を送るときは「頭語と結語」とか「時候の挨拶」とかを書かないといけないんですよね? それも儀礼的に表記しているだけであって、実際はそんなところを一生懸命読んだりはしませんよ。決まり文句が書いてあればそれでいいんです。 「頭語と結語」は、ビジネス文書では「謹啓」と「謹白」が一般的ですね。「時候の挨拶」「貴社ますます~」なんて挨拶も、文例集やマナー本を開けば色々な表現が書いてありますので、詳しく知りたい方はそちらを開くといいでしょう。 それに最近では、ワープロソフトに「謹啓」と入力しただけで数種類の挨拶文が表示されるような便利な機能もあるんですよ。 ええ!? そんな機
6、能が!? べ、便利な世の中になったもんだ…! 情報は早く伝えるに越したことはありません。 儀礼的な挨拶文に時間をかけるより、中身に時間をかける方が効率的だと思いませんか? 利用できるものは利用してしまえばいいんですよ。 以下にお客様に向けた大まかな報告書の例を載せますので、ひとつの参考にしてください。 報告書フォーマット【社外向け事故報告書例】 平成◇年○月△日 ▲▲工業 御中 デジセン商事株式会社 ××事故のお詫びと御報告 謹啓 貴社ますます御清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。 さて、この度◇年○月に起きました×
7、×事故に関して、貴社に多大な御迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。 つきましては下記の通り経過と対策を御報告申し上げますとともに、今後も変わらぬ御贔屓を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます 謹白 記 事故の経過:○○○○○○○○○○○○。 今後の対策:○○○○○○○○○○○○。 以上 ふ~ん、こんな感じになるのかぁ。でも大事なのは「中身」…。マナーだけじゃ仕事はできないし、物事の本質を捉えて大事なことに時間を使わないと、いい仕事はできないよね! ミスったときの対処法! 実務編3 仕事でミスをしたときには、どうすればいいの? とにかく
8、できるだけ早く上司にそのミスを伝えることです。 新入社員がミス、とくにクレームや事故を最後まで処理できるわけがありませんよね。そうであれば、当然ミスの対処にあたるのはあなた方の先輩や上司です。 しかし、事故処理は時間が勝負。ミスや事故に対してどれだけ速く対応できるかがその後の損失やお客様の信用にも大きくかかわってきますから、事故処理をできない以上、とにかく一刻も早くミスや事故の内容について、後処理をする人に伝えなくてはなりません。 実務編1の「報・連・相」と同じ要領で報告すればいいんですよね。 その通り。しかしこの「事故報告」というのが意外に難しいのです。 何せ本
9、来起こしてはいけなかったことの報告をするわけですからね。 「怒られる、責められる」のはまず間違いないわけですから、悪いのは自分なのだとわかっていても、ついつい責任をぼやかした表現を使ってしまうことが多いんですよ。 そうそう。例えば、やらなくてはいけない業務を忘れてしまっていたとき「やらなきゃいけないことだとは聞いていましたが、●●先輩はそんなに重要な業務でもない…というようなことを仰ってたんで…」なんて責任の所在が曖昧になるような報告をしたとする。 そうすると、その話を聞いた上司は「じゃあ、正確に業務を教えなかった●●が悪いんだな」と解釈してしまうかもしれない。 ほら、これだ
10、けでも本来の事実からだいぶ離れてしまっただろ? 確かに…。これじゃ、自分が悪いはずなのに先輩が犯人のようになっちゃってるよ。責任をぼかすような表現ってついつい使いがちだけど、伝言ゲームみたいに事実がどんどん変わっちゃうんじゃ、後々まずいですよねぇ。 そう、事故処理は正確な事実がないとできません。けれど、伝える情報が事実から遠く離れれば離れるほど正確な情報を把握するのに時間がかかり、それだけ事故処理が遅れてしまいます。場合によっては、ゆがんでしまった事実をもとに、事故処理自体を誤ってしまうかもしれません。 ですから、何が原因でミス・事故が起こったのか、もちろん明らかに外的要因
11、が存在しているならその要因も含めた正確な情報、そして現在の状況、これらを正確に伝えられるようにしてください。 それが済んだら、あとはとにかく平謝りすることです。下手な言い訳は絶対にしてはいけません。 そうそう。たまに、ミスに対して「でも」とか「だって」なんて言い訳をする人がいるけど、聞く側からすればそれが一番カチンとくる言葉なのよね~。ミスをした以上、どんな背景があったとしても自分の落ち度を素直に認めること、それを表情や言葉で表現することが大事よ。 いくら心で反省していても、無言無表情じゃ「反省していない」と判断されちゃうからね。 なるほど…。でも、自分が起こしたミスの
12、代償とか、堕ちちゃった信用とか、どうやって取り戻せばいいんでしょう…。もうずっと日陰で暮らさなくちゃいけないのかなぁ…。 人間ですから、全くミスをしないなんてことはありえません。だからこそ、ミス・事故を起こしたそのあとが大事なのですね。 起こしたミスへの対処の仕方、ミスを起こしたことへの反省の度合い、そしてもう二度と同じミスを犯さないかどうか。周りは、それらを全て観察しています。 とくに、同じミスを二度と起こさないようにすること。これができれば、1回のミスでも学習する、「学習能力はある」のだと思ってもらえるでしょう。 逆に、何度も同じミスを犯すようでは「学習能力なし」と判断
13、評価されてしまいます。これでは信用回復どころの話ではありませんよね。 そっか、ミスしたあとも含めて評価されるんだぁ…。じゃあ、ミスしたあとほど気を引き締めないと…! そうです。ミスは謝れば終わり、というわけではありません。 そして、いくら迅速に行動しても素直に謝罪の言葉が出ない、というのでもいけません。 ミスをしたときほど、周囲はあなたを厳しく観察・評価しますから、それを忘れないように行動してくださいね。 部署異動って言われたら… 実務編4 部署異動と言われてしまったそのときは? 一口に部署異動・人事異動といっても、時と人と場合によって理由は様
14、々あるでしょう。 まぁ大きく分ければ「部署に欠員ができたケース」「より当人に合った仕事内容の部署に異動するケース」「強い要望による引き抜きのケース」この3つに分けられると思います。 そうはいっても、新人の私達が「部署異動」を言い渡されるってことは、要するに「使えなかった」「向いてない」って言われるのとほとんど同じですよぉ! う~ん、たとえそうだとしても、大事なのは現状を嘆くことではなく、異動した先の部署で結果を出すことだと思うんですけどねぇ。 結果を出し続けていれば、周りも上も放ってはおきませんよ。 部署異動も前向きに捉えることが大事なんじゃないですか? 前
15、向き、かぁ…。でもやりたくない仕事の部署に回されたりしたら…。もうお先真っ暗ですよぅ…。 お先真っ暗ですか…。いやいや、それくらいでお先真っ暗になるなんて、一体どんな輝かしい理想を抱いて会社に入社したのでしょうねぇ? まぁこれはどんな新入社員にも言えることかもしれませんが、新人の頃は自分や会社の理想のイメージが強すぎる傾向にあるんですよ。受ける企画をどんどん出したいとか、クリエイティブな創造性のある仕事がしたい、とかね。 もちろんそれを悪いことだとは言いませんが、誰だって最初から望む仕事に携われるわけではありません。逆に言えば新人の頃というのは、望む仕事をいつか自分が任せられる
16、よう様々な経験を積むときなんだと思いますよ。 はぁ…そういうもんなんですかねぇ…。 こんな話があります。海外を飛び回るバイヤーになりたくて大手スーパー会社に就職した青年が、入社早々魚売り場の現場に回されてしまいました。 青年は「自分はバイヤーになりたいと言ってこの会社に入社した。会社だってそれを知っていたのに、なぜ」と自分の現状が納得できず会社を辞めてしまいました。 しかし会社の方は、将来いいバイヤーになってもらうために、まずは現場を知ってもらおうと思っていたのですが…というお話です。 自分の理想と会社の思惑がずれていたんですね…。 そうですね。会社には
17、会社の、いい社員を育てるためのやり方や思惑があるのです。 現状に悲観ばかりしていると、ちょっとしたことでいちいち会社を辞めなくてはいけなくなってしまいますよ。 そんなことをしていたら、何回転職しても足りないと思うんですけどねぇ…。 確かに…。悲観ばっかりしていても、いいことなんてひとつもないよね…。異動は、自分の経験を広げるチャンスだと思わないと…。 そうですよ。どんな部署にいたって、有能な人は必ず周りが見ています。 たとえ向いていないがゆえに部署異動・人事異動をさせられたのだとしても、異動した先で完璧な結果を出し続けていれば、また新しい道も拓けるでしょう。 「○
18、○一筋」というのも大いに結構ですが、せっかくなんですから色々な経験をして、それを自分の血や肉として成長していく方が、幅広い人間になれると、私は思いますよ。 そっかぁ…、うん! 前向きに頑張っていこう! それで、いずれ理想の自分に近づいていくんだ! よーし頑張るぞ!! 今回で「新入社員お悩み相談所」はいったん終了しますが、いつかまたお会いしましょう! みんなも頑張って素敵な社会人になってくださいね!! やってる!? 報・連・相! 実務編1 報・連・相、ちゃんとやってますか? 「報・連・相」というと、ビジネスマンなら誰もが一度は聞いたことのある言葉だと思いますが、皆
19、さんはしっかりこの「報・連・相」を実践できていますか? そもそも、なぜ「報・連・相」が必要なのか、その理由を考えたことはあるでしょうか。 「報・連・相」って「報告」「連絡」「相談」のことですよね。なぜ必要なのかって…だって部長がやれって言うから…仕事を進めるうえで絶対必要だからって…。 う~ん、「上司がやれと言ったから」では、社会人としてあまりに悲しい答えなんですけどねぇ…まぁそれは置いておきまして。 実は「報・連・相」は、あなた達以上に上司や仕事の指示をしている人にとって大変重要なことなのです。 業種は色々あれど、現場には必ずみんなを取りまとめるリーダー的役割の人が
20、います。多くの企業ではそれを役職で示しているわけですが、そのリーダーが個々の人達に仕事を割り振ったとき、割り振った人間がみな好き勝手に動き、しかも何を考えているのかわからない…このような状況では、仕事を取りまとめる方もまともに取りまとめることができませんよね。 だから「報・連・相」を通してみんなから今何を考え何を行っているのか教えてもらわないと、上司も状況判断ができないってわけだ。 状況判断ができないってことは、次の一手を正確に打てなくなる。だから上司は「報・連・相」をするよう言っているんだよ。 まぁ、新入社員の頃から上司の立場を考えて仕事を理解することは難しいかもしれないけど
21、な。人に指示を出すようになれば「報・連・相」の本当の大切さがわかるよ。 なるほど…。確かに、みんながみんな何をやってるのか全くわからなかったら怖いよなぁ。次の仕事も渡せないもんね。 それに「報・連・相」をすれば、その時点で自分が間違えたことを考え、行っていたとしても、報告した時点で上司が間違いを指摘してくれます。 例えば1週間、上司に報告せずに間違ったまま仕事を進めていたら、その1週間が全くの無駄になってしまいますよね。せめて3日前に報告してくれれば、その3日間は軌道修正ができたのに…といった具合に、仕事の効率化の観点から言っても、「報・連・相」は有効なのです。 このよ
22、うに、良い効果こそあれど、悪い効果はないのが「報・連・相」なのですが…。どうも最近は、これすらまともにできない社員が増えてきたように思いますねぇ。 う~ん…。でも忙しそうにしている上司に何度も報告に行くのは、かえって仕事の手を止めてしまいそうで迷惑になっちゃう気がするんですよね。それに、機嫌が悪そうな上司のところに行くのはやっぱりためらってしまうし…。 確かに、通る報告も通らないような「間が悪いとき」はあります。本来は機嫌や仕事量で気分が激しく浮き沈みする上司もよくないのですが、相手も人間ですからね。顔色をうかがって報告する我慢も必要でしょう。 ただし、それを言い訳にして報
23、告をダラダラと先延ばしにしてはいけません。 とくに悪い報告、事故報告などは相手の状況を考慮するよりも、まず相手にその情報を伝えることが最優先ですから、そこは忘れないようにしてください。 は~い! わかりました! …でも報告って、いざ上司を前に話そうとすると何から話していいのか悩んじゃうんですよね~。 ビジネスの報告の基本は、「結論から話す」ことと「簡潔明瞭」であること、この2点です。 よくあるのが、細かな状況を伝えようと、ひとつひとつ起こった出来事を順番に説明していき、最後に「だから、こうなってしまったんです」と報告するケース。結論が最後な上に、その結論を聞くまでに細か
24、な報告が多すぎます。 うまい報告をしたいのなら、必要な情報だけを簡潔にまとめ、まず結論を伝えましょう。 そうすれば、相手も聞きたいことだけを質問するはずです。質問もなければ、すぐにでも「ではどうしようか」と次の話に進むことができますよね。センスのある人はこういう報告をするものです。 そっか。聞く相手が即座に状況を判断できないような報告じゃ、時間も無駄にかかるし、相手に対しても不親切ですよね。かといって情報が多すぎても混乱させちゃうし…難しいなぁ。 あと気になるのが、コミュニケーションがうまくいかなかったときや誤解が生じたときによく聞く「私はそう言ったつもりはなかったので
25、すが…」とか「そんなつもりはありませんでした」などの『つもり』という言葉。 この言葉は「自分はそう言ったつもりはなかったのだけれど、相手に正しく伝わらなかった」という意味なのでしょうが、聞き方によっては「自分はちゃんと言ったから、正しく理解しなかった相手に責任がある」という風に聞こえてしまいます。 人間ですから、解釈の違いから誤解が生じることは多々あります。けれどそこで「そのつもりはなかった」と言うだけではなく、なぜ相手にそのような誤解をさせてしまったのか、そこを考えなくてはなりません。「そのつもりはなかった」のせりふだけでは、ただの言い訳でしかありませんからね。 ついつい言いがち
26、な言葉ですが、この言葉ひとつで、上司の評価が決まってしまうかもしれません。気をつけてください。 そっか…「報・連・相」って奥が深いんだなぁ…。こまめな報告と、うまい報告をできるように努力しないと…! 最近は、どの会社でも「報・連・相」の徹底が叫ばれています。しかし逆に言えば、どの会社でもこの「報・連・相」を上手にできる人材が少ないということです。 そのようなご時世ですから、少し気をつけて良い「報・連・相」ができるよう努力をすれば、おのずと上司の目にもとまるかもしれません。 誰だって怒られたり、文句を言われることは嫌だと思いますが、別に怒られても文句を言われてもいいじゃないですか。報告せずにもっと大きな事故に繋がるくらいなら、一時怒られることくらい大したことはないですよ。そういう心構えで「報・連・相」を実践できる社会人になってくださいね。






