资源描述
上代
歴史書(記紀)
古事記 712年
稗田阿礼 …誦習 太安万侶 …撰録
紀伝体 (各人物の事跡を追う)国内、文学的
日本書紀 720年
舎人親王らが編纂
純粋な漢文体、編年体、(年代順、中国のマネ。)
国外、歴史的
記紀文学 古事記と日本書紀
地誌 諸国の名前の由来、伝承、産物
風土記→ 現存は5国(出雲、上陸、播磨、肥後、肥前)
完本は出雲国風土記のみ
和歌
万葉集 8世紀ごろ 現存する最古の歌集
大伴家持 おおともやかもち???
勅撰和歌集 ×
1額田王 ぬかたのおおきみ、2柿本人麻呂 かきのもとの ひとまろ 高市黒人 3山上憶良 山部赤人4大伴家持 おおともやかもち
特徴:ますらをぶり
懐風藻→ 最古の漢詩集
日本霊異集→最古の説話集 最古シリーズ
歌経標識→最古の歌論
中古・中世 ~物語~
作り物語(伝記物語)
竹取(たけとり)物語(ものがたり)…現存する最古の物語 物語のでき始めの祖
宇津保物語 現存する最古の長編物語
落窪物語 継子いじめの物語
歌物語 和歌を中心とした短編物語集
伊勢(いせ)物語(ものがたり) 最初の歌物語 在原業平が主人公の一代記「昔、男ありけり」
大和物語
平中物語
作り物語の伝記性歌物語の抒情性、日記の現実性など、それまでの文学の集大成
物語
源氏(げんじ)物語(ものがたり) 紫式部(むらさきしきぶ) (藤原道長の娘:彰子に仕えた)
五十四帖、光源氏の障害とその子孫たちの物語
もののあはれ
狭衣物語
歴史物語
栄花物語(えいかもんがたり) 編年代 仮名書きによる最初の歴史物語。
大鏡 道長を批判 紀伝体
今鏡
水鏡 記述内容の年代が四鏡の中で一番古い
増鏡
軍記物語 戦乱の様子を描く
将門記 漢文体
保元物語 和漢混交文 「保元の乱」
平治物語 和漢混交文 「平時の乱」
平家(へいけ)物語(ものがたり)
平家一門の栄華と没落、仏教的無常観
七五調を交えた和漢混交文
盲目の琵琶法師が節をつけた「平曲」という形で語りつく。
太平記 「南北朝の争乱」
和漢混交文・」流麗な道行文(道中の風景や旅人の心情を描いた文章)
曽我物語 「兄弟の仇討ち」
御伽草子 近世の仮名草子につながる。
「一寸法師」」「物くさ太郎」
中古・中世 ~日記~
日記
土佐(とさ)日記(にっき) 紀貫之(きのつらゆき)
初めて仮名で書かれた日記
土佐から京都までの旅
蜻蛉(かげろう)日記(にっき) 藤原道綱母
初めての女流日記
夫(藤原兼家)の浮気を嘆く妻の苦悩と息子(道綱)への母の愛、『源氏物語』の影響
和泉式部日記 為尊親王と死別後の弟との恋愛、和歌のやり取り
紫式部日記
更級(さらしな)日記(にっき) 菅原孝標女
物語大好きな少女時代、つらい結婚生活、仏道修行の晩年
三大随筆
枕草子(まくらのそうし) 1000年頃成立
清少納言(せいしょうなごん)
日記的章段:宮廷生活
類聚的章段:もの尽くし、「山は」「川は」
随想的章段:自然や人事への感慨
「をかし」⇔源氏物語の「物のあわれ」
方丈記(ほうじょうき) 1212年頃成立
鴨長明(かものちょうめい)
流麗な和漢混交文、 無常観 隠者文学
徒然草(つれづれぐさ) 1331年頃成立
吉田(よしだ)兼好(けんこう)
無情観 隠者文学
自然、人生、趣味、有職故実など多彩な内容。
説話
日本霊異記 最古の仏教説話
今昔(こんじゃく)物語(ものがたり) 最大の説話集 (仏教説話+世俗説話)
天竺(インド)震旦(中国)、本朝(日本)
和漢混交文 「今は昔…語り伝へる」
発心集 鴨長明 仏教説話
宇治(うじ)拾遺(しゅうい)物語(ものがたり) 世俗説話 和文体
中古・中世 ~詩歌~
漢詩集
懐風藻(奈良時代)
↓
勅撰集 天皇の命で編纂された歌集
① 古今和(こきんわ)歌集(かしゅう) 最初の勅撰集
撰者:紀貫之、紀友則、など
三代集:古今集、後撰集、拾遺集
三大集:万葉集、古今集、新古今集
歌人:「六歌仙」在原業平、小野小町ら
仮名序: 仮名書きの序文
② 後撰和歌集 撰者「梨壺の五人」清原元輔
③ 拾遺和歌集
④ 後拾遺和歌集
⑤ 金葉和歌集
⑥ 詩花和歌集
⑦ 千載和歌集 撰者:藤原俊成
歌人:藤原俊成、西行
☆平安~江戸までの詩歌の流れ☆
漢詩の流れ
↓
遣唐使廃止、仮名文字誕生
↓
和歌全盛
↓
鎌倉幕府成立・貴族弱体化
↓
歌論
↓
蓮歌の台頭 和歌に並ぶ文芸に
↓
俳諧蓮歌へと進化
↓
近世俳諧へ
⑧ 新古今和(しんこきんわ)歌集(かしゅう) 後鳥羽上皇の勅命 撰者:藤原定家ら
歌人:後鳥羽上皇藤原俊成、藤原定家西行
私家集 個人の歌を集めた歌集
山家集 西行
歌論
歌経標識(奈良時代)
↓
古来風体抄 藤原俊成 (幽玄の理念を設立)
無名抄 鴨長明
蓮歌
菟玖波 二条良元撰 蓮歌を確立
新選菟玖波集
犬菟玖波集 山崎宗鑑 俳諧蓮歌→近世の俳諧へ
歌謡
和漢(わかん)朗詠集(ろうえいしゅう) 藤原公任 撰
梁塵秘抄 後白河法皇 撰
(当時流行っていた歌謡をあつめたもの)
近世 小説・芸能
近世概要:前期 元禄時代、上方を中心、1688~1704年
後期 化政時代 江戸を中心 1804~1830
小説
御伽草子(おとぎぞうし)室町時代。童話風、絵入りの短編小説
一寸法師、物句さ太郎
仮名(かな)草子(そうし) 御伽草子の発展形。平易な仮名文で書かれた、娯楽の物語
伊曽保物語(イゾップ物語ん文語訳)
浮世(うきよ)草子(ぞうし) 上方中心、現実主義的小説
【井原(いはら)西鶴(さいかく)】(談輪派の俳人でも有名)
好色もの 好色一代男、好色五人女
武家もの 武家義理物語
町人もの 日本永代蔵
説話もの 西鶴諸国ばなし
前期読本 中国の短編をもとにした小説
【上田(うえだ)秋(あき)成(なり)】 雨月物語
後期読本 江戸で発展、仏雑な構成のおもしろさ
曲亭馬琴(滝沢馬琴) 南総理見八犬伝
草双紙 平易な仮名入りの絵本
赤本→黒本→青本→黄表紙→合巻の順に展開
洒落本 遊里に主催し戯作的な態度で描いたもの
滑稽本 庶民の日常生活を題材としたもの
式亭三馬 浮世風呂
人情本 恋愛を主とする通俗小説 為長春水 春色梅暦
芸能
浄瑠璃(じょうるり)
竹本座 竹本義太夫が開く 座付き作家近松門左衛門
【近松門左衛門】
時代物(歴史)国性爺合戦
世話物(心中)曽根崎心中、冥土の飛脚 女殺油地獄
歌舞伎(かぶき)
近世 俳諧・国学
貞門俳諧 文芸としての俳諧と作る
↓松永貞徳
談林俳諧
↓西山宗因 井原西鶴
蕉風俳諧 元禄期/さび、しおり、ほそい、かるみ
【松尾芭蕉】
紀行文:奥の細道、更科紀行
↓
天明俳諧
与謝野蕪村 新花摘
国学
【契沖 】 万葉代匠記
荷田春満 記紀万葉の研究
賀茂真淵 万葉考 (万葉=ますらをぶり)
【本居宣(もとおりのり)長(なが)】 源氏物語玉の小櫛(源氏物語の本質は「もののあわれ」)
玉勝間(随筆)
文学理念
さび
芭蕉俳諧/自然と一体となり、寂しさに徹した枯淡を慕う心が自然と句の上にあらわれている美しさのこと。
しをり
荒々しいものでも優しく、太い感じのものでも細く整っている句の姿のこと
ほそみ
繊細な感情によって、大商物をとらえるこtにうまれる句のあり方、内的に深みがでいること。
かるみ
人事に取材して、平俗なことをより高みの詩的な美へ昇華させた境地。晩年の作品の特徴。『芭蕉七分集』などがある。
虚実皮膜論
近松門左衛門/芸は、「虚(虚構、誇張、美化」と「実(事実のこと)」間に子ぞ成り立つのだという考え方
粋
近世前期/浮世草子・浄瑠璃など/社交的に洗練された享楽精神を有すること。
通・気
近世後期/洒落本など/通は遊里の事情や趣味生活など遊びの方面によく通じて、失敗しないこと。意気は都会風に洗練されて垢抜けした美で、うちに清澄な生気を含んでいるもの。
勧善懲悪
近世後期/読本・人情本・合巻・歌舞伎脚本など/善を勧め、悪を懲らしめるという道徳的主張。
近現代 (散文)
戯作文学 【仮名垣魯文】 西洋道中膝栗毛
翻訳文学 【丹羽純一郎】【坪内逍遥】
政治小説 【矢野龍渓】 経国美談
写実主義 明治20年前後/現実を客観的に描こうとする/人間心理の分析/近代文学の幕開け
【坪内逍遥(つぼうちしょうよう)】 「小説神髄(しょうせつしんずい)」「当世書生気質」
【二葉亭四迷(ふたばていしめい)】 「小説総論」「浮(うき)雲(ぐも)」/言文一致
擬古(ぎこ)典(てん)主義(しゅぎ) 明治20年代/日本の古典文学を再評価/紅露時代
硯友社 … 日本最初の文学結社/機関紙「我楽多文庫」/尾崎紅葉・山田美妙
【尾崎(おざき)紅葉(こうよう)】…金色夜叉」「多情多恨」/雅俗折衷体/である調の言文一致体
【幸田露伴】… 「五重塔」「風流物」
【樋口(ひぐち)一葉(いちよう)】… 「にごりえ」「たけくらべ」
浪漫主義 自我の目覚め/内面的真実を重視
文芸雑誌 <文学界> 【北村透谷】・【島崎藤村】
【北村(きたむら)透谷(とうこく)】… 「内部生命論」
【徳富蘆花】… 「不如帰」
【泉(いずみ)鏡花(きょうか)】 …「高野聖」「歌行燈」
【森(もり)鴎外(おうがい)】 … 「舞姫(まいひめ)」「即興詩人」(翻訳小説)
自然主義 人間や社会の実相を客観的に描写
【島崎(しまざき)藤村(とうそん)】…「破壊」「春」「家」「夜明け前」
【田山(たやま)花袋(かたい)】… 「蒲団」「田舎教師」
【国木田独歩】… 「武蔵野」
反自然主義 余裕派(高踏派)/白樺派/耽美派
余裕派(よゆうは)(高踏派) 深い教養と批判精神
【森(もり)鴎外(おうがい)】 … 「青年」「雁」「阿部一族」「高瀬舟」
【夏目漱石】… 前期三部作 「三四郎」「それから」「門」
後期三部作 「彼岸過迄」「行人」「こころ」
耽美派(たんびは) 自由で美的な世界を描く
【永井荷風】 「すみだ川」「あめりか物語」「ふらんす物語」
【谷崎潤一郎】 「刺青」「痴人の愛」「春琴抄」「細雪」「源氏物語(現代語訳)」
【佐藤春夫】 「田園の憂鬱」「都会の憂鬱」
白樺派(しらかばは) 個性と自由の尊重、ヒューマニズム
雑誌<白樺>
【武者小路(むしゃのこうじ)実篤(さねあつ) 「お目でたき人」「友情」「友情」
【志賀(しが)直(なお)哉(や)】「城の崎にて」「暗夜行路」「和解」
【有島武郎(ありしまたけお)】 「或る女」
新現実主義 耽美派(たんびは)・白樺派(しらかばは)によって見過ごされてきた現実に立ち返る。
新思潮派(しんしちょうは) 雑誌 <新思潮>/東京帝国大学出身者
【芥川龍之(あくたがわりゅうの)介(すけ)】… 「羅生門」「鼻」「杜子春」「地獄変」
【菊池寛】 雑誌 <文芸春秋> 芥川賞・直木賞の設置
奇蹟派(新早稲田派)自然主義の流れを受け継ぎ、私小説を定着させる
雑誌<奇蹟>、<早稲田文学>
【広津和郎】【葛西善蔵】
プロレタリア文学 プロレタリア(労働者階級)のための階級闘争の文学/政治的
<種まく人><文芸戦線><戦旗>
【小林多喜二】 「蟹工船」
【葉山嘉樹】「セメント樽の中の手紙」「太陽のない町」
転向文学 弾圧を受けてプロレタリア文学から転向。
【中野重治】「村の家」「歌のわかれ」
芸術派 政治思想を抜きにして文学そのものの革新
新感覚派リアリズムの排除/新しい文体による感覚世界の知的な再構成を目指す
雑誌<文芸時代>
【川端(かわばた)康(やす)成(なり)】「伊豆の踊子」「雪国」「山の音」「千羽鶴」
【横光(よこみつ)利一(りいち)】 「機械」「上海」「旅愁」
新興芸術派 反プロレタリア文学を旗印に
【井伏鱒二】 「山椒魚」「黒い雨」
【梶井基次郎】 「檸檬」
新心理主義 人間心理の解剖/新しい手法で人間の内面を描く
【堀辰夫】 「風立ぬ」
【伊藤整】
昭和十年代活躍した人々
【小林秀雄】 「私小説論」
【中島(なかじま)敦(あつし)】 「山月記」「李陵」
【柳田国男】 「遠野物語」
戦後
無頼派(新戯作派)規制の道徳に反発/退廃的/ニヒリズム
【太宰(だざい)治(おさむ)】 「人間失格」「斜陽」「津軽」「走れメロス」
【坂口安吾】「白痴」「堕落論」(評論)
【織田作之助】
戦後派自身の戦争体験をもとに政治と文学の関係を追及、死を運命ととらえる、西欧の手法
【野間宏】 「暗い絵」「真空地帯」
【武田泰淳】 「」
【三島(みしま)由紀夫(ゆきお)】 「仮面の告白」「金閣寺」
【阿部公房】 「砂の女」「壁」
第三の新人 経済的な繁栄/日常的な市民生活における人間/政治的視点を作品にとりいれない
【安岡正太郎】 「悪い仲間」
【遠藤周作】「沈黙」
昭和三十年代以後
【井上靖】「敦煌」
【大江(おおえ)健三郎(けんざぶろう)】 「飼育」「死者の奢り」 ノーベル賞文学賞
【開高健】
【村上春樹】
近現代 韻文
詩
新体詩 西洋の新しい形式や精神を取り入れる。
訳詩集 「新体詩抄」 「於母影」 【森鴎外】
浪漫派 感情や情熱/青春における自我の目覚めと解放/抒情的
【北村透谷】 文学界 雑誌 「蓬莱曲」
【島崎藤村】 「若菜集」
象徴派 西欧の象徴主義の影響、連想や類推によって思想やイメージを表現
【上田敏】 「海潮音」
耽美派 美の享受に最高の価値/感覚的、官能的世界/反自然主義的
雑誌 スバル
【北原白秋】 「思ひ出」 「邪宗門」
口語詩自由詩完成期の詩人
【高村光太郎】 「道程」
【萩原(はぎわら)朔太郎(さくたろう)】 「月に吠える」
【室生犀星】 「抒情小曲詩」
【宮沢(みやざわ)賢治(けんじ)】 「春と修羅」、「銀河鉄道の夜」
モダニズム 従来の詩の形式や概念を打破/シュルレアリズム、
【三好達治】 「測量船」
☆平安~江戸までの詩歌の流れ☆
漢詩の流れ
↓
遣唐使廃止、仮名文字誕生
↓
和歌全盛
↓
鎌倉幕府成立・貴族弱体化
↓
歌論
↓
蓮歌の台頭 和歌に並ぶ文芸に
↓
俳諧蓮歌へと進化
↓
近世俳諧へ
• 万葉集(まんようしゅう);日本最古の歌集。奈良時代末に成立され、大伴家持(おおとものやかもち)が編に関係があるといわれる。歌の数は約4500首で、20巻からなっている。部立は雑歌(雑歌)、相聞(そうもん)、挽歌(ばんか)などである。
• 源氏物語(げんじものがたり) 11世紀初めに成立。作者は紫式部(むらさきしきぶ)。構成は三部に分かれ、54帖からなる。光源氏(ひかるげんじ)、薫(かおる)などを中心とする70年間にわたる恋愛の物語を通じて、複雑な人生模様を描く。先行文学の集大成で、「もののあはれ」の精神を表現している。
• 枕草子(まくらのそうし)1001年頃成立、作者は清少納言(せいしょうなごん)。構成は、日記的章段、類聚(るいじゅう)的章段、随想的章段の三つに大別される。日本の最初の随筆集で、『源氏物語とともに平安文学の双璧(そうへき)と呼べれる。中世の『方丈記』、『徒然草』と並ぶ三大随筆の一つである。
• 白樺派
明治43年雑誌『白樺』の創刊で結成した文学集団である。芸術的な目標はヒューマニズムと理想主義。代表作家は武者小路実篤、志賀直哉、有島武郎など。彼らは明るい理想主義な人道主義な立場をとり、倫理的なものを重視し、自我の至上、個性の尊重を主張し何でも表現すればよい。
新現実主義
耽美派の退廃的な官能美への傾斜、白樺派の観念的な理想主義に飽き足らず、現実をより明晰な知性によってとらえ直そうとする気運が大正中期ごろから生まれた。それは芥川龍之介らの新思潮派である。
いまは昔、竹取の翁というふものありけり (竹取物語)
男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり(土佐日記)
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。(枕草子)
ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。(方丈記)
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす(平家物語)
近現代日本文学史
明治、大正、昭和時代の文学
(1868-1989)
• 時代区分:1868年の明治元年から現在にいたるまでの期間を近現代と呼ぶ。時代名で
いえば、明治(めいじ)・大正(たいしょう)・昭和(しょうわ)・平成(へいせい)の四代をいう。
一、明治時代
• 1、啓蒙期の文学(~明治20年)翻訳小説
• 2、写実主義(明治20年前後)
• 3、擬古典主義(明治20年代)
• 4、浪漫主義(明治20年代後半~30年代)
• 5、自然主義(明治40年代)
• 6、反自然主義文学(明治40年代以降)
1、啓蒙期の文学(~明治20年)翻訳小説
• 福沢諭吉らの啓蒙思想家によって、新時代にふさわしい近代的な人間観を日本の風土の中に定着させようとする努力が払われている。
• 福沢諭吉ふくざわゆきち―『西洋事情』
2、写実主義(明治20年前後)
• 坪内逍遥は1885年日本最初の文学理論書である『小説神髄』を書いた。彼はその本で文学の独自性を論じ、描写の上で模写主義を唱導した。文学を道徳の傘下から解き放ち、勧善懲悪的文学観を否定、「人情、世態風俗」を模写すべきことを主張した。写実主義は18世紀中頃、イギリスで起こり、空想的浪漫主義を否定、平凡な日常生活と現実を模写することを主張した。坪内逍遥の影響を受け、写実主義の実践者二葉亭四迷が口語体(言文一致)写実小説『浮雲』を書いた。
• 坪内逍遥・二葉亭四迷の写実主義の提唱 →近代文学への動きが見られる 。
• 二葉亭四迷や山田美妙の言文一致運動→近代文学発展上大きな力となり→森鴎外の創作や翻訳 →文学啓蒙運動がなされ→浪漫主義の誕生をみる→極端な欧化主義への反省として国粋主義の傾向が現れてくる。
• 国粋主義の現れに伴って→明治二十年代には尾崎紅葉、幸田露伴を中心とする擬古典主義の時代が訪れる →一方、北村透谷を中心とした『文学界』の人たちは、尾崎紅葉を中心とする硯友社の文学を否定し、浪漫主義の高揚のもとに、浪漫詩の全盛を謳歌し、宗教への関心も深めていった。
• 日清戦争後、資本主義の発展とともに→半封建的な社会の矛盾を指摘する観念小説・深刻小説の出現をみる。
3、擬古典主義(明治20年代)
• 尾崎紅葉、幸田露伴が研友社を結成し、欧化主義に批判的立場から井原西鶴などに共鳴する擬古典主義の立場をとり、伝統的文芸の教養を活かした作品を書いた。
• 尾崎紅葉おざきこうよう―『金色夜叉(こんじきやしゃ)』(情緒的な女性描写を得意した)。
• 幸田露伴こうだろはん―『五重塔』(広く深い東洋的知性に基づいた理想的主義な男性像を書いた。)
• 樋口一葉ひぐちいちよう―幸田露伴、森鴎外の絶賛を受けた女流作家。『たけくらべ』『十三夜』
4、浪漫主義(明治20年代後半~30年代)
• 近代化が進行する中で、個性や自我を封建的な風土から解放し、尊重しようとする積極的な動きが生まれ、雑誌「文学界」の登場によって一個の文学運動にまで成長した。
• 北村透谷きたむらとうこく―「文学界」
• 森鴎外もりおうがい―『舞姫』彼は浪漫主義の紹介と導入に大きな役割を果たした。
• 泉鏡花(いずみきょうか)―『高野聖(こうやひじり)』泉鏡花文学の頂点を成す名作である。
5、自然主義(明治40年代)
近代日本文学が形成した印
• 19世紀後半、自然科学の影響のもとにフランスを中心に興ったもので、人間を社会環境や生理学的根拠に条件づけられるものとしてとらえたゾラなどが代表的。文学で、理想化を行わず、醜悪なものを避けず、現実をありのままに描写しようとする立場をとる。
5、自然主義(明治40年代)
近代日本文学が形成した印
• 写実主義から発展してきた。自然主義が自然科学、実証主義の影響を受けて、発展してなったものである。事実をそのまま描き、告白する方向へ進み、無理想、無解決という姿勢をとり、後に日本文学史上の「私小説」へ進んだ。
• 島崎藤村―『破戒』『春』『家』『新生』
• 田山花袋―『布団』『田舎教師』
• 徳田秋声(とくだしゅうせい)、
• 岩野泡鳴(いわのほうめい)など。
6、反自然主義文学(明治40年代以降)
• 自然主義文学はリアリズムの手法によって克明な描写を行い、近代文学に豊かな表現力を与えたが、人間の捉え方が卑小、平俗に堕し、無理想、無解決の傾向が生じたために、それへの反動が現れた。
6、反自然主義文学(明治40年代以降)
• 森鴎外―『雁』『青年』(現代小説)『山椒大夫(さんしょうだゆう)』『高瀬舟』(歴史小説)。
• 夏目漱石―エゴイズム(自我意識)の追及と則天去私(自我の私心を超越して宇宙に道に辿る)。『我輩は猫である』、『三四郎』、『門』、『心』、『道草』、『明暗』など。
大正時代
• 第一次世界大戦後のデモクラシーの思潮を受けて、自我の拡大、個性の尊重が呼ばれ、白樺派文学が盛んになってきた。一方、第一次世界大戦後、好景気を生んだものの、資本家、労働者の対立は次第に激化し、労働運動が起こってくるようになると、白樺派の理想主義は現実から遊離した物として排斥されるようになってきた。そこで、現実を凝視し、人生の矛盾や意味を見出そうとする、芥川龍之介を中心にした新現実主義の文学が出現する。
大正時代
• 耽美派、白樺派、新現実主義
反自然主義文学(2)耽美派
• 彼らの書く美は道徳的な美でもなく、現実の醜さを情趣化することによって得られる美でもなく、官能の快楽に憧れ、人生の中から感覚的な美を乱そうとするものである。
• 谷崎潤一郎 ―『刺青』 しせい 『春琴抄』しゅんきんしょう 『細雪』ささめゆき
(3)白樺派
明治43年雑誌『白樺』の創刊で結成した文学集団である。芸術的な目標はヒューマニズムと理想主義。代表作家は武者小路実篤、志賀直哉、有島武郎など。彼らは明るい理想主義な人道主義な立場をとり、倫理的なものを重視し、自我の至上、個性の尊重を主張し何でも表現すればよい。
(3)白樺派
武者小路実篤―「新しき村」、『お目出き人』『友情』
• 志賀直哉-『城之崎にて』『暗夜行路』『和解』
• 有島武郎―『小さき者へ』『カインの末裔』
新現実主義
耽美派の退廃的な官能美への傾斜、白樺派の観念的な理想主義に飽き足らず、現実をより明晰な知性によってとらえ直そうとする気運が大正中期ごろから生まれた。それは芥川龍之介らの新思潮派である。
• 芥川龍之介―知性が張り詰めて、神経が研ぎ澄まされた。充满理智,神经敏锐.
• 代表作―『鼻』、『羅生門』
• 菊池寛―劇『父帰る』妻子を捨てて20年後、落ちぶれて帰ってきた父を迎える家族の複雑な心情を描く。
三、昭和時代
• 1、プロレタリア文学(大正末~昭和初期)无产阶级文学
• 2、モダニズムの文学(昭和初期)现代主义文学
• 3、戦時下の文学、転向文学(昭和10年代~昭和20年代)
• 4、戦後の文学(昭和20~30年)
• 5、現代の文学(昭和30年以降)
1、プロレタリア文学
(大正末~昭和初期)无产阶级文学
• 大正期のデモクラシー(民主主义)之風潮、ロシアにおける革命の勃発、第一次世界大戦の大恐慌に伴う社会不安の高まりなどを背景としてプロレタリア文学が発生した。これは、文学が労働者階級の意識向上とその権利闘争に役立つことを原則としたがその行き着く先は、社会革命を目指す革命の文学であった。
1、プロレタリア文学
(大正末~昭和初期)无产阶级文学
• ―昭和三年「戦旗」を創刊した。小林多喜二『蟹工船』、徳永直『太陽のない町』
2、モダニズムの文学(昭和初期)现代主义文学
• 文学の革命を目指した文学である。自然主義」とプロレタリア文学に抵抗し、人間の回復を目指す。
• (1)新感覚派(2)新興芸術派 (3)新心理主義
(1)新感覚派
• 母体『文芸時代』近代的現実に中に生きる人間を鋭い感覚表現でとらえ直そうとしたものである。
• 横光利一(よこみつりいち)―『蠅』人間存在そのものについて考えさせられる作品である。
• 川端康成―『伊豆の踊り子』、『雪国』、『千羽鶴』、『古都』日本美の伝統の世界を描き続けた。1968年文学ノーベル賞受賞。
(2)新興芸術派
• 新感覚派のあとを受けて、反マルクス主義を旗印に、新潮社の若い人たちによって形成されたのが新興芸術派である。
• 井伏鱒二(いぶせますじ)―『山椒魚』『黒い雨』(原爆を扱った)
• 梶井基次郎ー『檸檬』
(3)新心理主義
• 西洋の心理主義の影響を受け、人間深層心理の側面から人間と現実との分析を行った。
• 堀辰雄(ほりたつお)―『聖家族』、『美しい村』
• 伊藤整(いとうせい)―『生物祭』
3、戦時下の文学、転向文学
(昭和10年代~昭和20年代)
昭和八年、プロレタリア文学からの転向文学者と小林秀雄らモダニズムに属する文学者が「文学界」を創刊した。
• 中野重治(なかのしげはる)―『村の家』(転向文学)
• 中島敦(なかじまあつし)―『山月記(さんげつき)』『李陵』
4、戦後の文学(昭和20~30年)
• (1)民主主義文学(2)無頼派(ぶらいは)ー(新戯作派)(3)戦後派
• (1)民主主義文学 宮本百合子(みやもとゆりこ)―『風知草(ふうちそう)』、『道標』
• (2)無頼派(ぶらいは)(新戯作派):特異な創作態度で注目された。自虐と風刺を軸にした反俗的態度によって美や真実を模索した。
• 太宰治(だざいおさむ)―『斜陽』、『人間失格』『桜桃(おうとう)』
• 坂口安吾(さかぐちあんご)-『堕落論』
• (3)戦後派 戦争体験という重い主題を見据えて、そこから新しい文学を創造しようとした文学者の総称である。
• 第一次戦後派:野間宏(のまひろし)―『暗い絵』 中村真一郎『死の影の下に』
• 第二次戦後派: 大岡昇平―『野火(のび)』 三島由紀夫(みしまゆきお)―『仮面の告白』
4、戦後の文学(昭和20~30年)
• 女流作家:宮本百合子 野上弥生子(のがみやえこ)『迷路(めいろ)』
• 第三の新人:戦後、人々の生活が落ち着きが現れ始めると、文学の面も日常性のうちに題材を求める私小説的傾向の強い作品が書かれた。
• 遠藤周作(えんどうしゅうさく)―『海と毒薬』、『沈黙』
5、現代の文学(昭和30年以降)
大江健三郎(おおえけんざぶろう)―1994年ノーベル賞受賞 『個人的体験』『飼育』など。
• 村上春樹(むらかみはるき)―『風の歌を聴け』、『ノルウェーの森』
• 井上靖(いのうえやすし)-『孔子』
近現代日本文学史
明治、大正、昭和時代の文学
(1868-1989)
• 時代区分:1868年の明治元年から現在にいたるまでの期間を近現代と呼ぶ。時代名で
いえば、明治(めいじ)・大正(たいしょう)・昭和(しょうわ)・平成(へいせい)の四代をいう。
一、明治時代
• 1、啓蒙期の文学(~明治20年)翻訳小説
• 2、写実主義(明治20年前後)
• 3、擬古典主義(明治20年代)
• 4、浪漫主義(明治20年代後半~30年代)
• 5、自然主義(明治40年代)
• 6、反自然主義文学(明治40年代以降)
1、啓蒙期の文学(~明治20年)翻訳小説
• 福沢諭吉らの啓蒙思想家によって、新時代にふさわしい近代的な人間観を日本の風土の中に定着させようとする努力が払われている。
• 福沢諭吉ふくざわゆきち―『西洋事情』
2、写実主義(明治20年前後)
• 坪内逍遥は1885年日本最初の文学理論書である『小説神髄』を書いた。彼はその本で文学の独自性を論じ、描写の上で模写主義を唱導した。文学を道徳の傘下から解き放ち、勧善懲悪的文学観を否定、「人情、世態風俗」を模写すべきことを主張した。写実主義は18世紀中頃、イギリスで起こり、空想的浪漫主義を否定、平凡な日常生活と現実を模写することを主張した。坪内逍遥の影響を受け、写実主義の実践者二葉亭四迷が口語体(言文一致)写実小説『浮雲』を書いた。
• 坪内逍遥・二葉亭四迷の写実主義の提唱 →近代文学への動きが見られる 。
• 二葉亭四迷や山田美妙の言文一致運動→近代文学発展上大きな力となり→森鴎外の創作や翻訳 →文学啓蒙運動がなされ→浪漫主義の誕生をみる→極端な欧化主義への反省として国粋主義の傾向が現れてくる。
• 国粋主義の現れに伴って→明治二十年代には尾崎紅葉、幸田露伴を中心とする擬古典主義の時代が訪れる →一方、北村透谷を中心とした『文学界』の人たちは、尾崎紅葉を中心とする硯友社の文学を否定し、浪漫主義の高揚のもとに、浪漫詩の全盛を謳歌し、宗教への関心も深めていった。
• 日清戦争後、資本主義の発展とともに→半封建的な社会の矛盾を指摘する観念小説・深刻小説の出現をみる。
3、擬古典主義(明治20年代)
• 尾崎紅葉、幸田露伴が研友社を結成し、欧化主義に批判的立場から井原西鶴などに共鳴する擬古典主義の立場をとり、伝統的文芸の教養を活かした作品を書いた。
• 尾崎紅葉おざきこうよう―『金色夜叉(こんじきやしゃ)』(情緒的な女性描写を得意した)。
• 幸田露伴こうだろはん―『五重塔』(広く深い東洋的知性に基づいた理想的主義な男性像を書いた。)
• 樋口一葉ひぐちいちよう―幸田露伴、森鴎外の絶賛を受けた女流作家。『たけくらべ』『十三夜』
4、浪漫主義(明治20年代後半~30年代)
• 近代化が進行する中で、個性や自我を封建的な風土から解放し、尊重しようとする積極的な動きが生まれ、雑誌「文学界」の登場によって一個の文学運動にまで成長した。
• 北村透谷きたむらとうこく―「文学界」
• 森鴎外もりおうがい―『舞姫』彼は浪漫主義の紹介と導入に大きな役割を果たした。
• 泉鏡花(いずみきょうか)―『高野聖(こうやひじり)』泉鏡花文学の頂点を成す名作である。
5、自然主義(明治40年代)
近代日本文学が形成した印
• 19世紀後半、自然科学の影響のもとにフランスを中心に興ったもので、人間を社会環境や生理学的根拠に条件づけられるものとしてとらえたゾラなどが代表的。文学で、理想化を行わず、醜悪なものを避けず、現実をありのままに描写しようとする立場をとる。
5、自然主義(明治40年代)
近代日本文学が形成した印
• 写実主義から発展してきた。自然主義が自然科学、実証主義の影響を受けて、発展してなったものである。事実をそのまま描き、告白する方向へ進み、無理想、無解決という姿勢をとり、後に日本文学史上の「私小説」へ進んだ。
• 島崎藤村―『破戒』『春』『家』『新生』
• 田山花袋―『布団』『田舎教師』
• 徳田秋声(とくだしゅうせい)、
• 岩野泡鳴(いわのほうめい)など。
6、反自然主義文学(明治40年代以降)
• 自然主義文学はリアリズムの手法によって克明な描写を行い、近代文学に豊かな表現力を与えたが、人間の捉え方が卑小、平俗に堕し、無理想、無解決の傾向が生じたために、それへの反動が現れた。
6、反自然主義文学(明治40年代以降)
• 森鴎外―『雁』『青年』(現代小説)『山椒大夫(さんしょうだゆう)』『高瀬舟』(歴史小説)。
• 夏目漱石―エゴイズム(自我意識)の追及と則天去私(自我の私心を超越して宇宙に道に辿る)。『我輩は猫である』、『三四郎』、『門』、『心』、『道草』、『明暗』など。
大正時代
• 第一次世界大戦後のデモクラシーの思潮を受けて、自我の拡大、個性の尊重が呼ばれ、白樺派文学が盛んになってきた。一方、第一次世界大戦後、好景気を生んだものの、資本家、労働者の対立は次第に激化し、労働運動が起こってくるようになると、白樺派の理想主義は現実から遊離した物として排斥されるようになってきた。そこで、現実を凝視し、人生の矛盾や意味を見出そうとする、芥川龍之介を中心にした新現実主義の文学が出現する。
大正時代
• 耽美派、白樺派、新現実主義
反自然主義文学(2)耽美派
• 彼らの書く美は道徳的な美でもなく、現実の醜さを情趣化することによって得られる美でもなく、官能の快楽に憧れ、人生の中から感覚的な美を乱そうとするものである。
• 谷崎潤一郎 ―『刺青』 しせい 『春琴抄』しゅんきんしょう 『細雪』ささめゆき
(3)白樺派
明治43年雑誌『白樺』の創刊で結成した文学集団である。芸術的な目標はヒューマニズムと理想主義。代表作家は武者小路実篤、志賀直哉、有島武郎など。彼らは明るい理想主義な人道主義な立場をとり、倫理的なものを重視し、自我の至上、個性の尊重を主張し何でも表現すればよい。
(3)白樺派
武者小路実篤―「新しき村」、『お目出き人』『友情』
• 志賀直哉-『城之崎にて』『暗夜行路』『和解』
• 有島武郎―『小さき者へ』『カインの末裔』
新現実主義
耽美派の退廃的な官能美への傾斜、白樺派の観念的な理想主義に飽き足らず、現実をより明晰な知性によってとらえ直そうとする気運が大正中期ごろから生まれた。それは芥川龍之介らの新思潮派である。
• 芥川龍之介―知性が張り詰めて、神経が研ぎ澄まされた。充满理智,神经敏锐.
• 代表作―『鼻』、『羅生門』
• 菊池寛―劇『父帰る』妻子を捨てて20年後、落ちぶれて帰ってきた父を迎える家族の複雑な心情を描く。
三、昭和時代
• 1、プロレタリア文学(大正末~昭和初期)无产阶级文学
• 2、モダニズムの文学(昭和初期)现代主义文学
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